"UNDER THE MOONSHINE" ~ Dialogue with Jack Johnson ~

W:フジロックのゲートの前で君の奥さんやご両親、それに息子のMoeちゃんにも会ったよ。その時に撮影したポートレートを持ってきたんだ。
J:本当に?ありがとう。ちょっと待ってて、ちゃんとバッグの中にしまうから。
W:去年の朝霧Jamと今年のフジロック、何も変わっていないことが僕には凄く嬉しかったんだ。
J:うん!
W:この一年間でミュージシャンとして発見したことってある?
J:正直、僕自身はあんまり自分のことをミュージシャンだと思っていないんだ。 ギターのコードは弾けるけれどね。どちらかといえばソングライターみたいな存在だと思っている。だからいつも曲を書いてるだけなんだ。今年はTommy GuerreroやMoney Markともプレイした。自分が尊敬するミュージシャンと演奏することがとても嬉しいんだ。これが僕の1年間ってところかな。人に出会って一緒にプレイする、そういうことなんだ。
W:CDで聞いている時はとてもアコースティックな感じだけど、ライブではフロー、波をより強く感じるね。
J:そうだね。スタジオにいるときは、アコースティックで2人くらいの友達、バンドメンバーがいるだけだからね。誰かのために演奏してるわけじゃないからね。リリックのことだけに集中しているから。ライブは、聴衆からのエネルギーを感じながら演奏するから、もっとダンスできる感じになるよね。もっとスピリッツな感じかな。レコードはBBQなんかでかけられたり、車で走りながら話をしているときにかけられたりするから、もっとメローな状況で聞かれるよね。だから、この2つは違った意味をもつことだよ。
W:君の歌からは映像がとてもクリアに浮かんでくる。忘れられない光景を描くように曲をつくっている、そんなことを想像していたんだけど。
J:僕の曲のつくり方は、3つか、4つのパターンがある気がする。そのひとつは、自分の妻を笑わせる曲を作るっていうことだよ! 『BubbleToes』とか『Wasting Time』、『Tomorrow Morning』とかね。これらはライトハートなラブソングだよ。それからTVを見たりして、何かすごく腹が立つことが起きたりして、それを曲に書いたりもするし、あとは誰か辛いときをおくっている人を見た時に、曲を作ってあげたいって思うこともある。少しでも気分を和らげられるような曲をね。実際に曲を仕上げるには少し時間がかかるから、結果的にある特定の人のためではなく、同じように辛い思いをしている沢山の人達に向けてつくっていることになるんだけど。
もともと僕は家族や友人がBBQなんかで集まったときにギターを弾いてたんだ。ビートルズとかボブ・マリーとか、皆と一緒に歌を唄うためにね。そして、僕は甥や姪や、兄弟のために曲を書くことから始めたんだよ。誰でもいい時間もあれば、悲しい時もあるんだ。痛みを経験することもあると思う。
僕はそんな近くにいる人たちのことを思って曲を書いているんだと思う。
W:今日も君の友人がボレックスでフィルムを回しているよね。彼も君のクリエイティブ・チーム、The Moonshine Conspiracyのメンバーだよね。The MoonshineConspiracyはどうやって始まったの?。
J:僕は一番最初に『Thicker than water』っていう映画を撮ったんだけど、それを撮り終わったときに何かプロダクション名をつけなきゃいけなかった。その時にThe Moonshine Conspiracyっていう名前を思いついたんだ。元ネタはその時ちょうど聞いてい「Moonshine」っていう古いブルーグラスの曲なんだ。「執行猶予で釈放されている時にお酒を飲むことが許されなくて、月明り(Moonshine)を頼りに森の中でそっとお酒を飲んだ」っていう内容の曲なんだ。Moonshineって秘密に何かを作るようなニュアンスがあると思わない?僕達もちょっとシークレットな感じでこの映画を作ったんで、この名前を思いついたんだ。
その後『September Session』っていう映画を作ったときにまた同じ名前を使った。それから友達が『Shelter』っていう映画を撮ったんだけど、その時もThe Moonshine Conspiracy名義にした。そうやって僕達のチームは始まったんだ。特 に何か計画とか考えずに始めて幾つか作ってみたときにレーベルのようになっていったんだ。
今では、そこからBrushfire Recordsっというレーベルも生まれて、G LoveやDonavon達も参加して少しずつ仲間が増えている。 基本的には僕とChis Malloy、G Love, Donavonっていったところさ。僕は今、「Curious George」のサウンドトラックを作成中なんだ。来年の9月に完成予定。その合間にハワイの自分の家で新しいアルバムを録音するよ。来年の3月にはリリースしたいと思っている。
W:The Moonshine ConspiracyのWebサイトからは、Ad Busters.comとかOne Percent For The Planetへのリンクがあるよね。
J:それは、僕とニック(ツアーマネージャー)が始めたもので、とてもいいアイディアだと思ってるよ。沢山の人に興味を持ってもらえたらと思ってる。僕達のプロダクツは全て「One Percent For The Planet」に参加するつもりなんだ。リンクは、沢山に人にそれを知ってもらうためにつけた。だって1%だけ地球へ恩返しするのって本当にささやかなものだから、他の企業もこれをやったらいいと思うよ。僕はこうした活動をとてもエキサイティングなことだと思っている。この後、僕は『Vote For Change』っていうミュージシャン達のアクティビティに参加する予定なんだ。 Bruce Springsteen、Dave Mathews Band、Pearl Jam、Ben Harper、REMといった沢山のアーティストが参加している。基本的に、コンサートを開いてお金を集めて、ブッシュを政権からひきずりおろそうとする活動だね。
でも時々、決断に難しいときもあるよ。例えば、ジョン・ケリーに投票してよってステージで言ったからって若い子達が彼に投票したとかそんなのは意味がないしね。僕の音楽を聴きにきてくれる人に、もし僕が多少でも影響力があるならば、「自分の考えはこうだ」って言うことだけだと思う。ブレインウォッシュをするんじゃなくて、若い子達が自分自身で考えてくれたらいいと思うんだ。エデュケーションというと大げさだけど、僕のWebサイトからリンク先として「One Percent For The Planet」や「Vote For Change」を知って、彼らが何かを学んでくれたらいいなって思うんだ。
W:来年もハワイでKokua Festivalをやるの?
J:来年は4月16日にやるよ。ここにいるニックもオーガナイズを手伝ってくれたんだ。今年もすごく良かったよ。リサイクリングのプログラムを提唱したりしてね。ハワイはリサイクリングとかに対する考えにかなり遅れているからね。だから僕の音楽を聴きにきてくれたことがきっかけで何かそういうことを考えて、更に成長させていってほしいな。子供達が、僕らの年齢に達した時に、もっとそういう事に対して知識をもっていてくれたらと思うね。僕らはなんだかんだと忙し
いから、基金を作るということぐらいしか協力できないけど、その基金がハワイにとって意義のあることに使われればとても嬉しいと思っているんだ。
W:僕らもビーチの近くに住んでいるんだ。君やDonavonがこの前演奏した鎌倉のすぐ近くだよ。例えばハワイのイメージにしても日本ではすごく限定的なものしかないけど、ジャックや君の仲間達が住んでいるローカルにはとても豊かな文化があると思うし、僕達もそのことをもっと知りたいと思っている。
J:うんうん、前回も鎌倉に行った時に、すごく親しみを覚えたんだ。東京みたいな大都会はカルチャーショックだけどね。僕はハワイで育ったんだけど、同じ海の側の環境だから似ているものがあると思うんだ。靴を脱ぐとか、日本の文化の影響をハワイもかなり受けてるよ。
W:日本にも沢山の魅力的なところがあることを誇りにしているし、もっと君たちともシェアできたらいいなって思っている。
J:そうだね。君達が何かやるときには、僕がライブしたりできるしね。
W:ありがとう。次ぎはハワイで会いたいね。Kokua Festivalの時にぜひ遊びに行くよ。
最後になっちゃったけど、これmoeちゃんにプレゼント。「甚平」っていって日本のトラディショナル・サマー・ウェアなんだ。 moeって名前にはどんな意味があるの?
J:どうもありがとう!Moeってハワイ語で「メローで、波がない穏やかな日」そして「平和」っていう意味なんだ。それと、癌でなくなってしまった親友の父親の名前からも貰っているんだ。
W:いい名前だね。そうやって続いていくんだね。
------------------------------------------------------------------------------------------
ドノヴァンは、日常の中に小さな旅を発見していくこと、そしてタフでいるには自分自身を心地よく感じることだ、といった。ジャックは奥さんを笑わせるために曲を書いているといった。最高だ。それは「今」を引き受け、ポジティブに日々を暮らすことだと思う。ジャックもドノヴァンも、とてもパーソナルで親密な関係性から全てが始まり、全てが結ばれるということを体現している。 遠くを憧れている時間などない。この手の中にあるものをひとつひとつ紡いでいきたいと僕も思う。月明りは僕らの上にも等価に輝くのだから。
(※掲載誌: 『Metro Min』2004年9月号)
© 2004 Washio Kazuhiko
YOSHIAKI NISHIMURA (designer)
AKIKO ISHIGAKI (artist)
SEVERN CULLIS-SUZUKI (environmental activist)
JACK JOHNSON (musician)
NATSUKI IKEZAWA (novelist/poet)
SIM REDMOND BAND (musician)
MOTOHARU SANO (musician/poet)
TOKIWA KINOSHITA (musician)
DANNY LYON (photographer)
BARTABAS (artist/Zingaro)
DAN KINJYO (cook/FUAN)
KAZUYOSHI NAGASHIMA (politician)
ISSEI TERAMOTO (galleriest)
DJ KRUSH (artist)
KATSUHIRO SHIMIZU (architect)
DONAVON FRANKENREITER (musician)
