ISSEI TERAMOTO (galleriest)

『昨日の自分より、今日の自分が良くあるように』
(インタヴュー: 東京、2004年9月19日)

写真家からギャラリーオーナーへ
今年6月から、このギャラリーを始めましたが、僕自身写真を撮っています。
本格的に写真を始めたのは23歳のとき。以来、10年近く写真を撮り続けてきました。結婚して、しばらく東京を離れたいと思い、妻と一緒にアメリカへ語学留学したんです。アメリカで思ったのは、やはり自分でアクションを起こさなければ何も始まらない国ということ。それで帰国して、アメリカで撮った写真を自分が信じる人に見せてみようと思いました。信じる人に見せて、「他のことをしたほうがいい」と言われたらすっぱりやめようと思って。それで敬愛する編集者の後藤繁雄さんに見てもらいに行きました。そうしたら、「面白い」って言われて、「なんや、写真続けてもいいや」って。その後、初めての個展を行ったんですが、その時に何故だか「ギャラリーを持ちたいな」って思った。写真展を見に来てくれた後藤さんにその気持ちを話そうって思っていたら、逆に後藤さんからも「お前、こんな場所やらへんのか?」って。それですぐにギャラリーを持つことを具体的に考えはじめたんです。
ギャラリーという場所は面白いですよ。いつも新しい人、新しい才能に出会える。それが楽しい。もともと、父が地方新聞社を経営していて、そんな影響もあってか編集やプロデュースという志向性があったんだと思います。小学校のときから何か企画を考えたり、弟が書いた漫画を本にしたりしていましたね。誰かの才能を客観的に判断する能力はもしかして人よりはあるかな、とは思っていた。そういう志向性がずっとあったのかもしれません。

新しいつながりが生まれる場所
プンクトゥムは、「企画力のあるレンタルギャラリー」を目指しています。単にレンタルスペースを貸して終わりじゃなくて、借りてくれた人のことを徹底してサポートしたいと思っています。それはいくら若い才能でも作家を作家として扱うということです。PRはこちらで徹底してやります。その分、作家は作品のことだけを考えてくれたらいい。こういうスタンスで運営しているギャラリーは非常に少ないと思います。大半のギャラリーってレンタルスペースを貸して終わり、PRや告知も全て作家自身がやらなければならない。でも展覧会をやってお金使って、知り合いだけが喜んでもしょうがないと思うんですね。誰かの眼に留まること、何か新しいつながりが生まれないと。新しい才能がいかに効果的に世の中に出ることが出来るか、それがプンクトゥムのテーマです。同世代や年下の若い作家と一緒にこの場所も成長していけると嬉しいですね。

誰にも触らせない自分自身の時間や場所を持つこと
若い写真作家に対して思うことですが、何かに対峙して写真を撮っている人って少ない気がします。撮る対象との関係性が希薄、対峙するんじゃなくて、ちょっといい関係性や安心感の中で撮っていたり、真っ直ぐに見ないでちょっと横から眺めていたり。一見みんな綺麗でうまい写真なんだけど、何かが足りない。どうしたんだろう、皆、楽な方に走っているなって。それってある種の世代感覚なのかもしれないけど、結構危うい感じもしています。
今の時代ほど、コミュニケーションを売りにしている時代ってない。でもそれはコミュニケーションというよりも「コンビニケーション」しているだけ。薄っぺらな時間をちょこちょこと持とうとすることよりも、本当に大事で誰にも触らせない時間や場所を持つことってこれからはとても大切だと思っています。それは写真を撮る人だけの話ではなく、きっと一般の人にとっても当てはまることだと思いますね。
海外では実業家の人がアートや写真作品を買ったりしているでしょ。あれってスリルを買っていると彼らは言うんですね。自分がなしえないものを手に入れたい、その作品を見ながらドキドキしたいから。決して単なる投資の対象だけではないんです。写真もそうだし、生きていくことそのものかもしれないけど、「昨日の自分より、今日の自分の方が良くあること」だと思うんですね。僕自身、毎日何か新しい発見にドキドキしていくことを楽しみながら、このギャラリーを1年でも、1日でも長く続けていければって思っています。
(SONY GRAMI, 2004.09.)

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寺本一生
1971年 和歌山県新宮市出身 
1991年 大学進学で上京
1993年 大学中退。写真専門学校入学。
1995年 専門学校卒業。フリーカメラマンに。
2001年 結婚を機に夫婦でアメリカへ語学留学
2002年 帰国後、編集者・後藤繁雄氏が主宰する「スーパースクール」に参加。
2003年 初個展
2004年6月 東京・京橋にて企画&レンタルギャラリー「PUNCTUM Photo+Graphix Tokyo(プンクトゥム・フォトグラフィックス・トウキョウ)」を開廊


PUNCTUM Photo+Graphix Tokyo(プンクトゥム・フォトグラフィックス・トウキョウ)
〒104-0031東京都中央区京橋1-6-6ハラダビル2F
最寄り駅:東京メトロ銀座線京橋駅6番出口徒歩3分。東京駅八重洲中央口より徒歩8分。
tel 03-5250-5001 fax 03-5250-5018
e-mail: punc@punctum.jp



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